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バガブーを登って
2014.10.17

バガブーを登って

このゲスト・ブログはブラックダイヤモンドとグレゴリーのウェブ開発を担当するイアン・ドルコからお届けします。

ブラックダイヤモンドの社員、ジョン・コッピと共に2週間の休みをとってカナダのバガブーに登りにいったイアン。仕事から離れて本当に好きなことをやりに行った2人の物語です。

何もかもがきつい。バガブーのアップルビー・キャンプ場に向かってここまで4時間。あと1時間だ。

背中にくくり付けたものすごく重い荷物が恨めしい。唯一の慰めは、いつもの大きなバッグではなく、使えそうな中で一番大きかったデナリ100を背負ってきたこと。2週間分の食料、燃料、キャンプ用と登山用の道具を運ぶなんて本当に嫌になる。



やっと小休憩をとって肩から荷物を下ろし近くの岩にパックを置いた時は嬉しかった。ゆっくり、一歩一歩、キャンプまでの道のりを進んでいった。こんなことはこれ一度だけだと思えば、いくらか気持ちが楽だったが。

そこからの2週間は日々の決まった作業の中で漠然と過ぎていった。

天気予報を確認する。予報が良ければ登山に備えてアラームをセット。起きてコーヒーを入れて道具を持って外に出る。私たちが目指していたのはまさにこの軽くて速いアルペン登山のスタイル。最初のアプローチとは大違いだ。





氷河が近づいてからは、ハーネス、ギアラック、ロープをパックに入れ、アプローチシューズとアイゼンを着けた。パックの外側にはピッケルをくくり付け、平らな場所を離れ、垂直な壁に挑んだ。

頂上に近づくにつれ、疲労は増していく。

頂上へのアタックは大抵、行程の中では簡単な部分だ。多くのルートは下りが複雑で、4級クラスの技術が強いられる吹きさらしの場所、そしてラペル。入り組んだ行程を進み、最後に氷河を後ろ向きに降りてキャンプへと向かう。

ベルテ25のトップポケットに詰め込んでいたカフェイン入りのスナックで疲れた体に栄養を補給しつつキャンプへ戻った。キャンプでは最初のベースキャンプへの道のり用の食料を満喫した。そしてまた予報が良ければ翌日の準備をして眠り、しょぼしょぼとした目で起きて同じことを繰り返す。

休む日が欲しいと思うこともあるが、天気が良ければ登らなければならない。好天はいつまでも続かないからだ。

雨の日は退屈だ。眠って、朝食にインスタントのパンケーキを作る。長々と読書しキャンプにいる人たちと交流する。でもすぐにイライラしてきて、早く晴れないかなと思う。

連日の登山であちこち痛むし、休むための言い訳を考えたりもするが、花崗岩の続く長いルートを想うとまたあの壁に戻りたいと願う。母なる自然がそうさせるのだ。



バガブーでは、人生はシンプルだった。

外の世界と急いで連絡をとる必要もないから、普段の生活は一時保留。できるだけ多く山を登るという目の前の使命に完全に集中できる。

ソルトレークまで戻ると、日常の作業を少しやっただけで、あのシンプルな暮らしに戻りたくなった。次の旅の準備はもうできている。