カミノを歩く
ON THE TRAIL
2015.10.22

カミノを歩く

この旅はきっと期待通りのものになる。それはわかっていたけれど、まさか私の人生を永遠に変えてしまう旅になるとは思ってもみなかった。



フランスのピレネー山からはニューヨークシティがはるか遠くに感じられた。特に30ポンド(約14kg)以上の荷物を背負っている身としては。
山中で国境を越え、やがてスペインの小麦畑を抜けた。グレゴリーのバックパックの一番下にストラップで取り付けた三脚は、最軽量のものだったが、それでも最初の週は、荷物が重く感じられた。私は冒険に魅了され、世界を巡って日々記録していた。




私が最初にグレゴリーを手に入れたのは2012年、アパランチア・トレイルの180マイル(約290km)登山をしたときだ。2014年、私はバージニア州ダマスカスのトレイル・デイズに参加した。そして元々持っていたジェイド38からJ53にグレードアップした。このバックパックが後に、私のフリーランス・ビデオプロデューサー、プロの写真家として初めてのスルーハイクで理想的な相棒になってくれた。重量配分がとてもしやすくて快適。フロントのアクセスジッパーも素晴らしく便利で、三脚を簡単に出し入れできた。妹もJ53で一緒に登ったのだが、外側のポケットのことをしきりに話していた。フロントから電話の出し入れをしたり、足の水ぶくれに必要なものをしまったりするのがとても便利だというのだ。



荷物をまとめ、600マイル(900km)の旅に備えた。2014年6月のことだ。喜び、悲しみ、笑い、そして愛に満ちためくるめく旅の始まり。ここでは、私が体験した、その心が動く瞬間についてお話ししようと思う。


ブドウ園の向こうから朝日が昇るときや、ティエンダでスペイン語を習い、世界中から来た人たちと食事を共にするとき、そして愛する人たちの目をのぞき込むとき、そうした様々な感情が沸き上がる。異国の地では、そういうものが我が家なのだ。




息をのむような場面が何度もあり、そうしたときにその瞬間が訪れる。
文化、冒険、実感、新しい人生、感じたことのない感覚、そういうものが欲しいと思ったらパリ行きの航空券を買ってほしい。

ひとりでも、愛する誰かと一緒でもいい。日数は気にしない。たっぷり時間を取ってもらいたい(少なくとも6週間は)。
到着したら、ボルドー行きのバスに乗る。そしてサン=ジャン=ピエ=ド=ポル行きに乗り換え。名前を登録し、登山用のスティックを買って、後ろは見ない。



間違った方向に5キロ歩き、出会った女性は英語が通じない、自分はフランス語ができないなんていう状況もある。境界を超え、カミノの道しるべの「シェル」や矢印がある場所に戻り、野生の動物たちと一緒に歩を進める。新しくできた道連れと自然の中を歩いていると、そこに来た目的、心の平穏が訪れるのがわかる。

迷ったら自然に身をゆだねてみよう。最初はさらに迷ってしまうかもしれない。でもその「道」のどこかに自分自身を見つけることができる。自分らしくいるということは、自分がいるべき場所にいるということなのだと気づくだろう。山にも、人にも、長い時間にも変えることはできないもの。解き放たれたいという願いだ。

石や祈り、そして長い長い道のりが私を解放してくれた。そのおかげで私は大きなものを得た。カミノは私の運命のトレイルだった。道が語りかけてくる言葉に、私は耳を傾けた。そして聞こえたのだ。「人生は全て『道』であり、旅である。最初は忍耐が必要だが次第に喜びに変わる。さあ良い人生を。」

初めてのスルーハイクに出かける方、次の冒険を計画している方、ぜひ「道」を楽しんで。Buen Camino(良い道を)。



アレクサンドラ・クロスは冒険に魅了されたプロの写真家です。「旅の衝動に駆られ、放浪の体験を記録する旅する女子」、アレクサンドラの写真の数々はKlos Up PicturesやInstagramで見ることができます。