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自然の愉しみかたを知る人たちvol.6
山口陽平
山口陽平
自然の愉しみかたを知る人たち
vol.6 山口陽平
vol.6 山口陽平
仕事、暮らし、遊びの真ん中に自然を置く
自分のペースや距離感で、自分にあった自然の愉しみかたを知る方に、自然との関わり方を尋ねるシリーズ「自然の愉しみ方を知る人たち」。第6回目は、仕事、暮らし、遊びの中にいかに自然を落とし込むかを実践し続けている山口陽平さん。山口さんが代表を務めるトレイルヘッズ株式会社が手がけ、最近オープンしたばかりのHINOKO
SHELTERという、自然の中に佇む美しいアウトドア施設にお邪魔した。
自然と繋がる時間をいかに増やすか
トレイルヘッズ代表の山口さんは「働くこと、暮らすこと、遊ぶことをシームレスに」を人生のテーマとして掲げている。たしかに理想的な生き方ではあるが、なかなか難しそうでもある。それらをうまく繋いでいくために、山口さんには自然が必要なのだという。
「会社を立ち上げたのが29歳。とうぜん仕事は全力で取り組まなければいけない時期でしたが、仕事の中に自然を融合することも大切なテーマでした」
「会社を立ち上げたのが29歳。とうぜん仕事は全力で取り組まなければいけない時期でしたが、仕事の中に自然を融合することも大切なテーマでした」

仕事や暮らしに自然での遊びを混ぜるとしたら、まっさきに浮かぶのが田舎暮らし。だがそれは選択しなかった。
「自由にいろんなところに行けるほうが心地良かったのです。そう考えると東京って便利なんですよ。朝イチの飛行機で北海道・旭川に飛べば午前中に旭岳のロープウェイに着くことができます。それから1、2本滑って、午後から仕事ということも可能です。日常的にそれをするかどうかは別として、可能であるということが自分にとっては大切なんです」
「自由にいろんなところに行けるほうが心地良かったのです。そう考えると東京って便利なんですよ。朝イチの飛行機で北海道・旭川に飛べば午前中に旭岳のロープウェイに着くことができます。それから1、2本滑って、午後から仕事ということも可能です。日常的にそれをするかどうかは別として、可能であるということが自分にとっては大切なんです」

自分のやりたいことが上手に混ざりあった、最高の1日だ。
だから住まいは東京のど真ん中。会社へも徒歩圏内だという。
「家と仕事場を近くすることで、そこもシームレスにしやすいんです。家族と朝一緒に過ごして、子供を学校に送り出してから、ゆっくりと仕事場に向かえます」
会社の仲間たちも自然好きが集まっている。社員旅行ではアイスランドやフィンランドを訪れ、国立公園などで自然と触れあった。くわえて定期的にオフィスでのイベントなどもおこなっている。
「やろうと決めたわけではなく、自然発生的なものなんです。たとえば、みんなでスキーやスノーボードを会社に持ってきて一緒にビールを飲みながらワックスをかけたり、フライの毛針を作ったり。こういうことだけでも、都内にいながらにして自然と繋がっていられるんです」
距離的なものではなく、精神的に自然と繋がっている状態を続けていくということだ。
「人生の中で仕事をしている時間ってとても長い。そこと自分が好きなものを切り離したくないんです」
だから住まいは東京のど真ん中。会社へも徒歩圏内だという。
「家と仕事場を近くすることで、そこもシームレスにしやすいんです。家族と朝一緒に過ごして、子供を学校に送り出してから、ゆっくりと仕事場に向かえます」
会社の仲間たちも自然好きが集まっている。社員旅行ではアイスランドやフィンランドを訪れ、国立公園などで自然と触れあった。くわえて定期的にオフィスでのイベントなどもおこなっている。
「やろうと決めたわけではなく、自然発生的なものなんです。たとえば、みんなでスキーやスノーボードを会社に持ってきて一緒にビールを飲みながらワックスをかけたり、フライの毛針を作ったり。こういうことだけでも、都内にいながらにして自然と繋がっていられるんです」
距離的なものではなく、精神的に自然と繋がっている状態を続けていくということだ。
「人生の中で仕事をしている時間ってとても長い。そこと自分が好きなものを切り離したくないんです」

ひとつの集大成である「HINOKO SHELTER」
夏はフライフィッシングとハイキング。冬は雪山をスノーボードで滑る。
まだ小さな我が子を背負って、ヨセミテのジョン・ミューア・トレイルを歩いたこともあるという。
まだ小さな我が子を背負って、ヨセミテのジョン・ミューア・トレイルを歩いたこともあるという。

「子供がいるから、という理由でやらないというのがしっくり来なくて。ただ、いざ荷物と子供を背負ってみたら、本当に歩けるのかっていうくらい重たくて(笑)。でも、トレイルヘッド(登山口)に立ったときに、歩きだせる喜びが湧き上がってきたんです。そういう気持ちを仕事でも持ち続けたいなと思って、社名をトレイルヘッズにしたんです。いまあの瞬間を思い出してもワクワクします」

これこそ日常と遊びをシームレスに繋いだ結果のチャレンジだ。けれど結果、子供にも印象的な旅になったに違いない。ただ、その大変さも容易に想像できる。
「シームレスと簡単に言っても、大変さもあります。楽しい大変さというか。あれもこれもという状態に自分を持って行くことなので、結果エネルギーがいるんですよ。暮らしと遊びという面ではシームレスというテーマを以前から達成できていたんですが、働くことと混ぜ込むのが一番難しかったです」
メインの仕事は都市部での空間デザイン事業。これまで自分が培ってきた空間作りのスキルと、自然での過ごし方をどうやって混ぜていくかが、大きなテーマとして残った。 そうして生まれたのが「HINOKO SHELTER」。
2組限定のサウナ付きのアウトドア施設。すぐ下には美しい渓流があり、そこが水風呂代わりだという。自然の中に溶け込んだ建築は、以前社員旅行で行ったフィンランドやアイスランドでの見聞が活かされている。
「シームレスと簡単に言っても、大変さもあります。楽しい大変さというか。あれもこれもという状態に自分を持って行くことなので、結果エネルギーがいるんですよ。暮らしと遊びという面ではシームレスというテーマを以前から達成できていたんですが、働くことと混ぜ込むのが一番難しかったです」
メインの仕事は都市部での空間デザイン事業。これまで自分が培ってきた空間作りのスキルと、自然での過ごし方をどうやって混ぜていくかが、大きなテーマとして残った。 そうして生まれたのが「HINOKO SHELTER」。
2組限定のサウナ付きのアウトドア施設。すぐ下には美しい渓流があり、そこが水風呂代わりだという。自然の中に溶け込んだ建築は、以前社員旅行で行ったフィンランドやアイスランドでの見聞が活かされている。


「北欧で自然の中に溶け込んでいる建築にたくさん出会いました。国立公園の中には、いわゆる東屋みたいなものがたくさんあって、地元の人も旅行者も好き好きに過ごしているんです。焚き火をしている人がいたり、採ってきたベリーを食べていたり。そういう場所をイメージして作りました」

だから設備は極力シンプルにしている。屋外に居心地の良い焚き火スペース。室内にあるのは簡易的なキッチン、薪ストーブくらいだ。
そんな山口さんだから、ギアもシンプルかつシームレスに使えるものが好みのようだ。
「流行りを追うのではなく、長く使える物が好きですね。メンテナンスする時間も、自然と日常を繋ぐ上で大切だと思っているので、補修しながら長く使えるものが良い。それからアウトドアの服を都市でも着ることもよくしてますね」
そんな山口さんだから、ギアもシンプルかつシームレスに使えるものが好みのようだ。
「流行りを追うのではなく、長く使える物が好きですね。メンテナンスする時間も、自然と日常を繋ぐ上で大切だと思っているので、補修しながら長く使えるものが良い。それからアウトドアの服を都市でも着ることもよくしてますね」

ミックスすることで見えてきた理想的な生き方
言うは易しだが、ミックスするのは大変だ。そのバランスが難しい。ステレオタイプ的に過ごすのではなく、その時になにを優先するかを常に判断し続けるということでもある。
「特にこういう生活を始めたばかりの頃は、仕事で疲れているから山に行けないなあという状況もよくありました。でも、そこで無理してでも行く癖をつけたんです。自然の中に行ってしまえば後悔することは絶対にないし、その後の仕事にも良い影響がでることが多い。いまではそれが日常になりました」
「特にこういう生活を始めたばかりの頃は、仕事で疲れているから山に行けないなあという状況もよくありました。でも、そこで無理してでも行く癖をつけたんです。自然の中に行ってしまえば後悔することは絶対にないし、その後の仕事にも良い影響がでることが多い。いまではそれが日常になりました」

長い時間、自然の中にいられるのがベストだと思う反面、それを毎日やっていたら仕事や暮らしと上手に混ざっている状態とは言えないと山口さんは言う。
自然の範囲が大きすぎる。平日だったら、早起きして午前中は自然の中で遊んで、午後から集中して仕事をする。休日はチャレンジングな外遊びをすることもあれば、家族とのんびり自然の中で遊ぶこともしたい。
とはいえ、欲張りだ。
「今後は、深いレベルでの自然体験と、それをどう仕事に活かすか、ということを発信していきたいです。自然の中に入ると、人間関係がフラットになりやすい。トレイルヘッズで毎年開催しているワークショップがあるんですが、チームビルディングにすごく役立っていると感じているので、それをもっといろんな企業などに試してみてほしい。そういうプログラムを作れないかと、模索中です」
自然の範囲が大きすぎる。平日だったら、早起きして午前中は自然の中で遊んで、午後から集中して仕事をする。休日はチャレンジングな外遊びをすることもあれば、家族とのんびり自然の中で遊ぶこともしたい。
とはいえ、欲張りだ。
「今後は、深いレベルでの自然体験と、それをどう仕事に活かすか、ということを発信していきたいです。自然の中に入ると、人間関係がフラットになりやすい。トレイルヘッズで毎年開催しているワークショップがあるんですが、チームビルディングにすごく役立っていると感じているので、それをもっといろんな企業などに試してみてほしい。そういうプログラムを作れないかと、模索中です」

自然体験をすることで仕事に良い影響がでる、というのはスッと理解できるが、山口さんの場合はその逆もまたしかり。仕事での体験が自然での遊びにも良い影響を与えることもあるのだという。
「空間デザイン事業では、いろんな業種の人とチームを組んでやることが多いんですが、良い仕事をしたときってチーム内の信頼度がものすごく上がるんです。そういうチームで今度は仕事ではなく山に一緒に行ってみると、一体感があって充実したものになりますし、さらに結束力が高まります。その後に同じチームで仕事をした時の信頼感って、ただ仕事の場だけでやりとりをしていた時よりも格段に上がっていると思います。そういう感覚を生み出せるようなサービスを作りたいんです」
結果、その後も仕事をする相手としての関係性も良くなる。話を聞けば聞くほど「働くこと、暮らすこと、遊ぶことをシームレスに」というテーマは実現できているように感じる。
「いま、良い状態だと思っています。このテーマで人生を送ってみて気付いたんですけど、僕ってたぶん短期的にみたら飽き症なんです。たとえば1週間山の中に入っていたりすると、仕事や家族が恋しくなったりもするんです」
だから、混ぜる。そのことによってすべてにしっかりと向き合うことができる。自然というハブを通じて、仕事、暮らし、遊びが繋がっているのだ。妥協せずに、あれもこれもと欲張ることによって達成できた、自然好きにとって理想の姿のひとつだ。
「空間デザイン事業では、いろんな業種の人とチームを組んでやることが多いんですが、良い仕事をしたときってチーム内の信頼度がものすごく上がるんです。そういうチームで今度は仕事ではなく山に一緒に行ってみると、一体感があって充実したものになりますし、さらに結束力が高まります。その後に同じチームで仕事をした時の信頼感って、ただ仕事の場だけでやりとりをしていた時よりも格段に上がっていると思います。そういう感覚を生み出せるようなサービスを作りたいんです」
結果、その後も仕事をする相手としての関係性も良くなる。話を聞けば聞くほど「働くこと、暮らすこと、遊ぶことをシームレスに」というテーマは実現できているように感じる。
「いま、良い状態だと思っています。このテーマで人生を送ってみて気付いたんですけど、僕ってたぶん短期的にみたら飽き症なんです。たとえば1週間山の中に入っていたりすると、仕事や家族が恋しくなったりもするんです」
だから、混ぜる。そのことによってすべてにしっかりと向き合うことができる。自然というハブを通じて、仕事、暮らし、遊びが繋がっているのだ。妥協せずに、あれもこれもと欲張ることによって達成できた、自然好きにとって理想の姿のひとつだ。

山口陽平(やまぐち ようへい)
トレイルヘッズ株式会社代表
1983年群馬県生まれ。大手不動産会社、空間デザイン会社を経て「トレイルヘッズ」を創業。都市部の空間デザインのほか、深い自然体験を実現するためのフィールドデザインも手がける。これまで移動式オフィスや会員制キャンプ場などを手がけ、今年3月に東京都檜原村に「HINOKO
SHLETER」をオープン。
Text:Takashi Sakurai
Photo:Nathalie Cantacuzino
Photo:Nathalie Cantacuzino