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夏こそ島旅!佐渡島で海遊び・山歩き
興梠泰明
夏こそ島旅!佐渡島で海遊び・山歩き
興梠泰明
標高1,000m級の低山縦走と海のアクティビティをお目当てに、夏の佐渡島へ。

 

標高1,000m級の山々が続く大佐渡山地があり、離島ならではの風景や植生に出合える佐渡島。一周約200kmという日本海最大の島で楽しめるのは、ハイキング、サイクリング、シーカヤック、釣り、キャンプ、史跡巡りに美食ざんまい!この夏、グレゴリーを背負って島旅へ出かけよう。
「海遊びも山歩きも楽しい佐渡島に遊びにきませんか?」そう誘ってくれたのは、昨年、佐渡島にオープンしたist - Sadoの運営に携わる興梠泰明さん。Ist - Sadoは紺碧の日本海を望む外海府(そとかいふ)関岬の高台にあるキャンプフィールドで、佐渡のダイナミックな自然を間近に感じられるスポットだ。今回の旅ではist - Sadoを拠点に、佐渡島北西部エリアの自然美を満喫するルートをナビゲートする。お気に入りのバックパック「キロ24」に着替えと身の回りのものをパッキングして、いざ新潟港へ!
エリアごとにがらりと風景が変わる、日本海最大の島
新潟港から佐渡・両津港まではカーフェリーと高速のジェットフォイルの2系統が運行されている。船旅の雰囲気を味わいたいなら、カーフェリーが断然楽しい。軽食コーナーでローカルグルメをリサーチしたり、船室でまどろんだり、デジタルデトックスしながら思い思いに過ごす自由な時間はフェリーならではのもの。デッキに出てベンチに座り、ぼーっと海を眺めていたら波間にイルカの背ビレを発見。あ、あそこにも!
両津港に着いたらレンタカーをピックアップして、今夜の夕食のための食材調達に出かける。季節の魚介類に海藻、佐渡ならではのいごねり(いご草を茹でて固めたもの)、いももちなど、地元のスーパーマーケットで食材ハントを。一通り買い出しが済んだら、北西部にある達者海水浴場へ。
1日目はマリンアクティビティ。どこまでもクリアな海へ漕ぎ出そう
約280kmの海岸線をもつ佐渡島は、「エリアによって砂浜や岩礁の様子ががらりと変わるのがおもしろいんです」と興梠さん。佐渡屈指の景勝地である尖閣湾の一角に位置する達者海水浴場は島随一の透明度を誇る島民御用達の海水浴場で、切り立った断崖に囲まれた穏やかな湾内で海遊びが楽しめる。地元の運営団体SHOW by JAWSによるシーカヤックツアーやスタンドアップパドル(SUP)ツアーが開催されているので、道具がなくても気軽にマリンアクティビティを体験できるのもうれしい。興梠さんとSUPで目指したのは、湾内からアクセスできる2つの岩屋で、沖側の岩屋を新平洞屋、浜側を山門洞という。この岩屋には体色が9色に変化するクシキという名の龍が棲んでいたという伝説があり、なるほど、いまにも龍が飛び出てきそうな峻厳なムードを漂わせている。そうそう、佐渡は豊かな民話の伝承地としても知られるが、この集落の“達者”は安寿と厨子王の民話に由来する。厨子王と生き別れになった母がここで再会し、お互いの「達者」を喜び合ったとか。
SUPはもちろん、シーカヤックやサーフィンなどさまざまなマリンアクティビティで真価を発揮するのが、防水性・防塵性を備える「アルパカギアボックス」だ。ウェットスーツや水着など濡れたものをさっとしまえ、このままクルマの荷室に収納できるという優れもの。ヒンジとラッチを組み合わせた蓋は取り外し可能で、どちらの側からも開閉することができる。興梠さんはシャワー後、ボックスの中で着替えを行っていたが、これなら砂まみれにならず、海水浴後の移動が快適になりそう。
キャンプフィールドでとびきり贅沢な一夜を過ごす
達者海水浴場から海岸線を40分ほどクルマで走るとist - Sadoに到着。istは「自然とともにある」という理念のもと、普段の暮らしを自然の中で実践できる場としてキャンプフィールドを展開している。なかでもここist - Sadoは施設内にとどまらず、佐渡全体を楽しんでもらうためのベースキャンプ的存在になることを目指している。施設内にはキャンプサイトのほかにミニマルな宿泊棟「Hut」と本格的なフィンランド式サウナや管理棟の機能を兼ね備えたラウンジがある。このラウンジでは焙煎にこだわったスペシャルティコーヒーや佐渡で醸造したクラフトビールを提供。さらに、島内産の食材を使ったモーニングも用意し、佐渡と来場者をつなぐ場所としての役割も担っている。
ここを運営することになって初めて佐渡を訪れたという興梠さん、島特有のダイナミックな自然と親しみやすさが共存する独特の空気感が印象に残ったという。とくにist - Sadoが位置する外海府エリアは地形が素晴らしく、ほかではお目にかかれないランドスケープに強く惹きつけられた。昔ながらのキャンプ場をリノベしたistには、興梠さんが感じたインプレッションが盛り込まれている。たとえば、宿泊した「Hut -roof-」は日本海に向かってデッキが設けられていた。時間を忘れて水平線に沈む夕日や夜の海に浮かぶ漁火を眺め、潮騒に包まれて焚き火を囲む。そんなぜいたくな時間を過ごせるという趣向だ。
「佐渡というと佐渡金山や宿根木といった観光スポットがどうしても注目されますが、僕たちはこの島ならではの自然美を島内外に向けて発信したいと思っています。ここには特別なコンテンツはありません。ただ夕日を眺めたり、満点の星を見あげたり、そんな時間を楽しんでもらいたい。こうした何気ないひとときに、佐渡島の美しさを実感できるはずですから」
今後はist - Sadoを拠点に、食、音楽などのイベントを企画してみたい、と興梠さん。自然とカルチャーを掛け合わせたコンテンツは、島での滞在の奥行きをさらに深めてくれるだろう。
大パノラマが広がる!花と海の縦走路
翌朝は日の出とともに目が覚めた。2日目は佐渡島の北半部にある、1,000m級の山々が連なる大佐渡山地のトレッキングへ。「キロ24」に水と行動食、レインウェアなどハイキング用の装備を詰めてドンデン高原へ出発する。

興梠さんに案内してもらったのは、ドンデン高原ロッジから佐渡島最高峰の金北山(1,172m)を経て白雲台へと至る、絶景の大佐渡山地縦走ルート。距離はおよそ13km、標高差は300mあまりながら縦走路らしいアップダウンが続き、歩きごたえもある。早春から雪どけ後の6月にかけて登山道沿いにさまざまな山野草が咲き乱れることから“花の縦走路”とも呼ばれるこのルート目当てに、県外から多くのハイカーが訪れるとか。
ドンデン高原ロッジ横の登山道から尻立山(940m)に進むと、いきなりの大眺望!はるかに続くトレイルとドンデン池、赤い三角屋根のドンデン山避難小屋を一望する。絵のように美しいランドスケープがハイカーのモチベーションをあげてくれる。尻立山から金北山縦走路入口へゆるやかに下り、そこから本格的な登りが始まる。
歩き出して早々、雪どけでところどころぬかるんでいるトレイルの脇に山野草が顔をのぞかせる。雪国を代表するユキワリソウに湿った場所を好むニリンソウ、名前も見た目も可憐なヒトリシズカ、黄色のエチゴキジムシロ、そして “山野草の女王”ことシラネアオイも!シカやサル、クマといった大型動物が生息しない佐渡では、本土で問題になっている動物、とくにシカの食害が起こらないため、本土に比べてたくさんの花を楽しむことができるという。


シラネアオイの花

樹林帯と稜線を交互に歩きながらアップダウンを繰り返し、マトネ(937m)の先で開けた稜線に出る。両側を海にはさまれての稜線歩きは島トレッキングの醍醐味といえるだろう。雲が高ければ飯豊山や北アルプスなど本州の山々まで見渡すことができる。ザレた砂礫の稜線のはるか向こうには、金北山の頂きにあるレーダー施設が見えた。さらに稜線を進んで真砂峰を過ぎ、やや急勾配の登山道を行くと、登山道の両側にカタクリの花が咲き乱れていた。4月ごろから低標高地で咲き始めるカタクリが、5月末ごろには山頂近くまで咲き上がってくるのだ。登山道の残雪を注意深く登り、いよいよ山頂へ。国中平野を一望する、この日いちばんのパノラマが広がっていた。
「暑い」「眺望がない」と低山ハイキングを敬遠する人にこそ勧めたい金北山ハイキングは、低山ハイクの最高峰。山頂付近が紅葉で色づく秋もさぞすばらしいことだろう。「秋にまたもどってきます」と山に告げ、頂上を後にした。
アクティビティから週末旅まで、シーンを問わず活躍する「キロ24」
ハイキングあり、マリンアクティビティありと、アクティブに動きたい島旅には「キロ24」がおすすめ。「キロ」シリーズの特徴は伸縮性のあるヒップベルト。体に快適にフィットするヒップベルトが安定性と快適性をもたらし、トレイルでの行動をしっかりとサポートしてくれる。さらに、パックのサイドにウォーターボトルを収納できるストレッチメッシュのポケット、内部にはハイドレーションスリーブ、伸縮性のあるコードを備えた薄型トレッキングポールアタッチメントと、ハイカーが求める機能やディテールを搭載している。容量は24リットルながら、フロントに設けた大型ストレッチメッシュポケットのおかげで1泊2日の装備も無理なく収まる。軽量で快適に背負える「キロ24」は、移動の多い小旅行に活躍しそうだ。

興梠泰明(こうろき やすあき)

大学時代、ヒッチハイクで日本各地を巡ったのをきっかけに、東南アジア各国を旅するバックパッカーに。卒業後は、ゲストハウスやホステルの開発と運営を手がける「Backpackers’ Japan」に入社。店舗運営や他社へ出向しカンボジアでのホテル立ち上げに携わる。その後、社内の新規事業として「ist」を立ち上げ、長野・八ヶ岳エリアに位置する「ist - Aokinodaira」をオープン。2024年春にはブランド2拠点目となる「ist - Sado」を開業。現在はキャンプ場にとどまらない事業展開として、九州エリアでの新たなプロジェクトを計画中。

Text:Ryoko Kuraishi
Photo:Masaru Furuya