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Cover all of GREGORY

グレゴリーにまつわるモノ、ヒト、コト。

役者として活躍する傍ら、〈エルネストクリエイティブアクティビティ(ELNEST CREATIVE ACTIVITY)〉(以下、エルネスト)のディレクターとしても長年活動している井浦新さん。役者とブランドディレクター、一見共通項がないように思えるこの二足の草鞋を履き続きて来られた背景には、20代から続けている、自然と対峙する旅があった。

「役者もエルネストも、僕にとってはすべてがフィールドワーク。旅はもちろん、日々の生活の中で得た新たな発見や気づきを、演じることやものづくりにアプトプットしています。なかでもエルネストは、“旅”をテーマに国内外を旅して出会った素材や技術、文化に着想を得て毎回デザインしていて、〈グレゴリー(GREGORY)〉とのコラボレーションもそう。今回は屋久島をテーマに、実際に現地へ行って撮影した写真でデザインされたパターンを落とし込んでいます」

これまで〈エルネスト〉が仕掛けてきたコラボレーションは、すべて井浦さんからのアプローチ。そもそも井浦さんと〈グレゴリー〉の出会いとは。

「昔から使ってましたし、憧れのブランドでした。高校生当時、渋谷ではSTORMYとかセレクトショップがアメリカで買い付けてきたものを売っていたんですけど、学生でお金もないですから、何個も買えるわけじゃない。デイパックかテールメイトが定番でそのどっちか。あれもこれもというより狙って買ってましたね。渋カジ世代なので、雑誌でもたくさん見てました。

ただ、リアルに登山に使うっていうよりは、街の中で使えてデザインもイケてる。しかもクオリティは登山用のバッグを作っているから間違いない。街使いでタフに使えるっていうのがグレゴリーに対する最初の印象でした。もちろん当時はパラゴンを背負って登山に行こうなんていう発想はありませんでした。本当の良さを知るのはもっと後の話ですね」

命のバトンを目の当たりにした屋久島の大自然。

学生時代から憧れていた〈グレゴリー〉とのコラボレーション。デザインのソースになったのは鹿児島県にある屋久島。「YAKUSHIMA Forestra Camo」と名付けられたこのオリジナル・テキスタイルは、世界的にも特異な自然環境で知られる屋久島の原生林豊かな自然からインスピレーションを受けて誕生したものだ。

「屋久島自体、もともと興味はあったんですけど、なかなか行く機会に恵まれず。フラッとひとりで行くことすらありませんでした。じゃあ行かざるを得ない状況をつくろうと。なので、屋久島に行く前にコラボレーションを企画する方が先だったんです。実際に訪れたのは2019年の暮れ。もう毎日が驚きの連続でした。僕らは外から得た情報、つまり縄文文化や小説や本などからイメージした屋久島を、自分たちの目で見てクリアにする予定でした。

もちろんそれはそれでおもしろい旅になっていたかもしれないけど、濃密にはなっていなかったかもしれない。というのも、宿泊先の方が、偶然にも現地の若いガイドの人たちを育てていた、まさに屋久島の先生のような人で。一緒に歩きながら屋久島の成り立ちや、どんな島なのかを教えていただきました。それ以外にも、明確な目的とは別に、無駄な動きのなかで出会っていくものとか、予定調和にないものと向き合うことで、真の意味での屋久島が見えてきたりもしました。本当にワンダーアイランドでしたね」

屋久島撮影 池本史彦

 

 

 

 

そうしてデザインに採用されたのは、花崗岩の巨石である多忠岳の天柱石に、ヤクスギ、ヤクシマシャクナゲ、ヒメシャラ、ヤクシマホウオウゴケ、ホウライスギゴケ、ヤクシカ、ヤクシマザルなど、屋久島特有の動植物で、屋久島の成り立ちや自然の中にある宇宙観を表現した。

「屋久島は海底で火山が爆発していて、それによって隆起した島。それが気の遠くなるような年月を経て、ベースとなる花崗岩の上に深い森ができました。森の中を歩くと、命のバトンが見えるんですよ。何千年もかけて、年輪を重ねてきた屋久杉がバキーンと何かの拍子で折れたんだけど、幹だけが残っていて、その幹の中から新しい芽が育っていくっていう光景がいたるところにある。感動の度合いが違いますよね。自然は圧倒的に神秘的なものなんですけど、それを感じたなかで一番残ったのは、森の中で感じる、自然の宇宙観であったり、自然が持つ生命の循環、積み重ねそのものでした。

今回つくったテキスタイルも、いろんなパターンがあったと思うんですけど、屋久島のいろんな植物、森の宇宙観、花崗岩も含めて、屋久島曼荼羅じゃないですけど、そういうものを表現しました。そして一人でも多くの方が、屋久島の豊かな自然の恵みに触れるきっかけになれば嬉しいですね」

信頼と安心がもたらすグレゴリー愛。

命のバトンが繋いだ、動植物が息づく森の中は、まるで宇宙のように奥深かった。そんな体験から、Forest(森)+Astra(宇宙)=「Forestra」という造語が誕生。今回のオリジナルテキスタイルにそう名付けた。また、井浦さんが紹介しているバッグ「パラゴン」は、ハイスペックモデルということもあり、グレゴリーとしてコラボレーションモデルをつくること自体、初めてだという。

「登山のときにずっと使っていたグレゴリーのバックパックがあったんですけど、それが廃盤になってしまって。パラゴンはそれに一番近いサイズになります。登山でも旅でも、一番自分にとっては実用性が高いモデルです。旅の場合は小型のカメラケース自体をこのパラゴンの中に入れるとか。必要なものを最小限にまとめて入れています。登山の場合は、自然の中に入っていくにあたって、使わなくとも必ず常備しておかないとおいけないものがあるので、なるべく詰め込みすぎず、少し余裕を持たせておくようにしています」

実際にトライアルすることで自分なりの使い方をアップデートしていく井浦さん。完成したコラボレーションアイテムのサンプルが届いたとき、感動と同時に湧いてきたいう別の感情とは。

「やっぱりグレゴリークオリティ。納得のいくものができました。こちらがテキスタイルを提案するところからはじまって、質感やテキスタイルの生地の馴染み方、発色の出方まで、僕にとっての憧れのブランドだからこそ妥協したくなかった。でも、それにすべて答えてくださって。信頼感、安心感はすごく大きかったですね。それはユーザーとしても感じていて、一緒にものづくりをさせてもらったことで、より深くグレゴリーを好きになっていくことにも繋がっています。僕自身が使うことへの喜びも、すべてのアイテムに対する愛着もより大きくなりました。すべてに感謝ですね」

井浦さんのインタビュー「仕事編」はこちらから!

バッグ:GREGORY「PARAGON 48」

Photo_Fumihiko Ikemoto
Text_Jun Nakada